2020/02/25
みなさんこんにちは、院長の濱です。今日紹介する本は「失敗の本質」という本です。この本は第二次世界大戦における日本軍が何故失敗し、悲惨な結末を辿ったのかというテーマを複数の視点から考えるというものです。特徴的なのはテーマに関して軍人が考察しているのではなく組織学や経営学といった違う分野の人が考察していることです。著者達の目的はこの本を無謀な戦争で傷つき、戦後の平和と繁栄の礎になった人々へ捧げ、2度と戦争が起こらないようにするためという事はまず記しておかなくてはいけません。
日本軍の失敗の要因として考えられるのは、精神主義の誇張・情報処理の軽視・組織内の人事制度の不備・自己認識の欠如・本部と現場の認識のズレが大きく分けると考えられると著者らは述べています。
精神主義の誇張に関してはノモンハン事件を取り上げています。作戦意識があいまいであり、中央と現地とのコミュニケーションが有効に機能しなかった。情報に関しても、その受容や解釈に独善性が見られ、戦闘では過度に精神主義が誇張されたと述べています。これは現在の組織に関しても言える事です。とにかく頑張れそうすれば結果が出てくると回りに励ますのは非常にナンセンスということですよね。
情報処理の軽視ではミッドウェー海戦を取り上げています。作戦目的の二重性や部隊編成の複雑性などの要因のほか日本軍の失敗の重大なポイントになったのは、不足の事態が発生したとき、それに瞬時に有効かつ適切に反応できたか否か、であった。と述べています。
マルチタスクの仕事というのは往々にしてこうなります。
織内の人事制度の不備に関してはインパール作戦を取り上げています。しなくてもよかった作戦。戦略的合理性を欠いたこの作戦がなぜ実施されるに至ったのか。作戦過程に焦点をあて、人間関係を過度に重視する情緒主義や強烈な個人の突出を許容するシステムが問題となる。と述べています。一度やり始めるとその仕事は最後まで貫徹されてしまう、特に権力がある人の発信だと起こってしまうミスです。
自己認識の欠如に関してはレイテ海戦を取り上げています。「日本的」精緻さをこらしたきわめて独創的な作戦計画のもとに実施されたが、参加部隊(艦隊)が、その任務を十分理解しないまま作戦に突入し、統一的指揮不在のもとに作戦は失敗に帰した。レイテ作戦はいわば自己認識の失敗であった、と述べています。戦艦大和の悲劇、大鑑巨砲主義から空母重視への変革へ対応しなかった(出来なかった)現実がここにあると思われます。
現在のわれわれの組織にも十分に生かせれる名著です。
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