2019/12/21
当院は2019年9月より自立支援医療機関および顎機能診断施設の指定医療機関となりました。どういうことなのか?と質問をいただく事が多いので説明いたします。
自立支援医療指定機関および顎機能診断施設においては、小児または成人における唇顎口蓋や成人における顎変形症(顎離断による外科手術が必要な、下顎前突起、上顎前突起、開咬や顎の側方変位など)の外科手術前後の矯正治療についての保険診療が適応されております。また、その他、国が定めた症候群についても保険診療が適応可能です。
近年、ネット環境の普及などにより、外科矯正治療という治療法、さらに保険診療が適応されるということも広く認知されてきております。しかし、患者さんの中には、「外科矯正(保険適応)の治療を受けたくても、どういったクリニックに行ってよいかわからない」という声もよくききます。また、一般歯科や口腔外科の先生方から、自立支援医療機関(更正・育成医療)の指定を受けたクリニックを紹介したいが、患者さんの通院しやすい地域や希望の地区で、どこのクリニックが外科矯正(保険適応)の治療を行っているかわからないという声もおききします。そこで、今回、少しでもお役に立てるように姫路市及び近畿厚生局に申請を行い認可を受けることができました。
通常の矯正だけでは充分な治療結果が期待できない場合には、顎の骨を外科的に手術で切って動かす「外科矯正」が行われることがあります。全身麻酔による本格的な手術が必要になりますが、大きな治療効果が期待でき、矯正治療の中では唯一保険が適応となります。
上顎前突症、上顎後退症、下顎前突症、下顎後退症、開咬症、顎骨非対称症例などの顎変形症患者において、機能的ならびに審美的障害に対する治療法として外科的矯正治療が行われます。
外科手術は、提携病院の口腔外科にて、全身麻酔下で手術が行われます。口の中に切開を加えて、骨切りを行います。原則、口の中からの手術になる為、顔などに手術の痕が残ることは、まずありません。入院期間は、約10日前後くらいです。
メリット
健康保険が適用となり、治療費が抑えられる。
通常の矯正装置だけでは治療が出来ないような難しいケースの場合でも治療が可能。
口元や横顔など審美的な部分で、通常の矯正よりも大きな治療効果が期待できる。
治療期間が短縮できる場合がある。
デメリット
手術は全身麻酔で行い、約10日前後の入院が必要となります。
入院前は臨床検査などため通院が必要になる。
手術直後には、顔が腫れ、一時的な麻痺など出る場合がある。
手術後、口があまり開かないため、多少、食生活や会話に不都合を感じる期間がある。
外科矯正治療は、大学病院や指定された専門的な歯科医院(※)でしか行われていない。
(※)指定された専門的な歯科医院とは
保険診療にて外科矯正治療をおこなうためには、自立支援指定医療機関(更生・育成医療機関)(1)、顎機能診断施設(2)の指定を受ける必要があります。指定医療機関では、外科矯正治療が健康保険の適応となりますが、矯正専門医院でも、指定を受けていない場合は、外科矯正治療をする場合は、すべて自費診療となりかなりの高額(約200万円以上)になります。
(1)自立支援医療(更生・育成)指定医療機関
自立支援医療(更生・育成医療)指定機関とは、更生育成医療の給付が受けられる医療機関です。以下の条件が必要です。
(2)顎機能診断施設
顎口腔機能診断施設とは、顎口腔機能診断施設基準に適合している診療機関のことです。外科的矯正治療を併用する顎変形症の術前術後矯正治療に保険が適用されます。
外科矯正治療の手順は、
「初診」⇒「診査診断」⇒「治療内容説明」⇒「術前矯正」⇒「手術」⇒「術後矯正」⇒「保定」の順で行います。
外科的矯正治療費は、「全体でいくらかかります」とはっきりは言えません。
矯正期間や装置によっても異なりますし、保険が適用される医療機関で矯正治療を受ける場合とそうでない場合でも異なります。また、入院期間・通院回数や手術の内容によっても異なってきます。
目安として、保険が適用される医療機関で矯正治療を受けた場合は、矯正費用と外科手術・入院費用を合わせて約50万前後の支払いです。保険が適用されない医療機関で矯正治療を受けた場合は、矯正費用と外科手術・入院費用を合わせて約200万前後の支払いと考えておくといいでしょう。
なお、外科手術・入院費用は健康保険の適応となり、高額療養費の対象となりますので申請をすれば一部返還されます。
以上まとめてみましたが、ご質問等ありましたらご連絡していただければと思います。
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