2019/11/07
皆さんこんにちは、JR姫路駅徒歩5分姫路はま矯正歯科の院長の濱 友彦です。今回も先日読んだ本のことでブログを更新しようと思います。
今日紹介するのは村上春樹さんの「色彩を持たない多崎つくると彼の巡礼の年」です。著者の本は数多く読んできましたが今回は初めて文庫ではなく単行本の形で購入しました。狭い部屋で暮らしており、本棚にしまえる本の大きさにも限界があります文庫が出るまで基本的には小説を買うのは我慢しているのですが今回はアマゾンで間違ってクリックしてしまったのです…
思い返せば初めて著者の本を読んだのは高校2年生の時でした、現代文の授業で「ノルウェイの森」が取り上げられ読みやすい文体と高校生にとって非常に刺激的な内容だったため授業が終わるとすぐに本屋に行き文庫本を買い、続きを一気に読み上げました。それから殆ど全て著者の本は購入しています。
私が著者の表現の方法で一番好きなのは音楽の描写です、多くの作品の中で音楽が取り上げられています。クラシック・ジャズ・ポッポス等。どの音楽も聴いたことが無いのですが、読んでいると自然にどのような音楽なのかイメージできるんです。聞いたことがない音楽を他人にイメージさせることができることは本当にプロの仕事だと感心させられます。
今回の主人公の多崎つくるは36歳(丁度今の私と年齢が重なります)。
そして大学時代に一人上京します(ここも重なりますね)、その時に心に大きな傷を負ったまま残りの人生を過ごしていくのですが、人生の方向を修正するためにその傷を塞ぐため旧友たちと再会する旅に出る…というのがストーリーです。多くの状況が私と重なり感情移入したまま読み終えることができました。著者の作品に多く共通する生と死、希望と絶望といった内容も含まれており安定感がある作品です。
最後に一番気に入った場面の描写を紹介します、主人公多崎つくるが旧友と再会し自分が負った傷を確認し、受け入れる場面です。
「そのとき彼はようやくすべてを受け入れることができた。魂のいちばん底の部分で多崎つくるは理解した。人と人の心は調和だけで結びついているのではない。それはむしろ傷と傷によって深く結びついているのだ。痛みと痛みによって、脆さと脆さによって繋がっているのだ」
人と人の付き合いで他者を受け入れることの真髄がそこにある、そのように感じました。
ではまた次回のブログで。
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